- The rest stories of "Project Eva" #40 -

"性質の悪い夢"

Dream

エヴァに乗らなくなってからはもうかれこれ十年経っているけれど、仕事柄エントリープラグには相変わらず入り続けていた。

だがそのせいでつい一月前から中耳炎をこじらせて、ちょうど呼吸器にもいい加減負担がかかりすぎていたからと主治医とも相談して今まで続けてきた仕事を降りることにした。もともと人間は肺に長時間水を溜め続けるようにはできていない。少々名残惜しくはあったが限界だった。

「残念ね」

リツコは口ではそう言ったけれど、置物みたいに革張りの椅子と一体になって溜め息ひとつ吐かないその顔は大して残念そうでもなかった。

「本当に残念なんだったら、もうちょっと残念そうな顔、したら?」

「あら、皮肉? 残念だって言うのは嘘じゃないわよ。確かにあなたの経験は貴重だった。世界で一番経験を積んだシンクロニシティ・カウンセリング・スペシャリストの座は向こう十年は降りずにすむでしょう」

「意外ね、そんなに褒めてくれるなんて」

「繰り返すけど、嘘じゃないわよ。でも、そう、『でも』があるの。あなたの経験は貴重だけど、すでに他のシンクロニシティ・カウンセラーも育ち始めている。それに、あなた自身の性質の方はこの仕事には正直言って向いていないわ。クライアントからはね返ってくるストレスを受けやすすぎるし、それどころかあなた自身私のクライアントでもある」

「私と違ってリツコはカウンセラーに向いてる?」

だが、まぜっかえそうと思って言った言葉はあっさりと切り返された。

「自信はないわね。だけど少なくともあなたには別の道がある。私よりも大きな可能性が。それに、私はあなたの精神の主治医であると同時に、あなたの身体の主治医でもあるのよ。身体に蓄積されたダメージは無視できないわ」

そう、この女は私にこの仕事を続けることの限界を通告した主治医でもある。赤木リツコ博士。生物から情報まで、応用的工学なら何でも来いという筋金入りの工学ジェネラリストで、おまけに外科から精神科までをこなす医師でもある。

そんな人間から「大きな可能性」なんていう言葉を貰っても、あまりピンとこなかった。

「『可能性』ねえ。じゃあ訊くけど、自分自身はどうやって有り余る可能性とかいうやつから自分の道を選択したの? 私から見れば、あんたはできる限り全部の道を同時に進んできたみたいに見えるけど」

肩をすくめてそう訊きかえすと、医者のくせにもうアトリビュートみたいに切っても切り離せない煙草を吹かして、リツコは私の真似をするように肩をすくめた。

「まさか。隣の芝が青く見えてるだけよ。私にだって切り捨てた可能性は沢山あるもの」

言葉を切るとリツコは、言いながら灰皿で潰した吸殻をひょいと拾い上げて見せた。

「例えばこれ。もう四十になるけど、今まで一度も禁煙したことがない」

「私だって煙草は吸うわよ」

「まだ辞められるわ。でも私は……駄目ね。人生の半分も吸って、もうここまで来ると一生吸い続けるような気がする」

「なんだ、それくらいのこと?」

「まだあるわ。私には子供がいない」

「今から産めばいいじゃないの。今時珍しくもない」

「さすがに今から子供を育てるエネルギーはないわ。それにそもそも作ろうとしたことがないから、自分に子供ができやすいかどうかもわからないのよ」

少し驚きだった。私の身体のことは根掘り葉掘り調べるくせに、自分の身体のことは調べもしないなんて。

もしかして、彼女は初めから子供など持つ気はさらさらなかったのかもしれない。

職業病だろう。思ったことが無意識のうちに伝わってしまうのを怖れて、私は慌てて冗談を返した。

「医者の不養生」

「反論はできないわね」

「でも、それ聞いてると、諦めたことを羅列しただけみたいに思えるけど」

「可能性を切り捨てるってのは、そういうことよ。何かを諦めること。まだあなたはほとんど諦める必要がない。今から企業人としての道を進むこともできるし、研究者になってもいい。カウンセリングで視たものから作品を創る手もあるし」

「美術って人間に見える?」

筆の一本だって持ったことがないのに。

「さあ。私があなたみたいだった時期はもう随分前だから、よくわからないわ。正直な話」

「ねえ、まだ私の質問に答えてくれてないわよ」

「え?」

「赤木リツコは、どうやって可能性を選んだの? どうやって可能性を切り捨ててきたの」

そう問うと、リツコは表情を見せない医者の微笑みを消して真顔になり、視線を泳がせた。

真顔のまま、手の中の煙草に火が点く。

取り返しのつかないものを想うように、フィルターぎりぎりまでゆっくりとリツコは煙草を吸い続けた。

そして少しフィルターが焦げ始めた煙草をこちらが不安になるくらいもったりとした動きで灰皿に押し付けた後で、戸惑いがちに私を見た。

その緩慢な動作はどこか壊れたからくり人形を思い起こさせた。

まずいことを聞いた、という感じがした。

「恥ずかしいけど、正直言って『選んだ』という感じはしないわね。私は母が科学者だったし……そう、お世辞抜きで、大科学者だったから、娘も当然その道を進むだろうって期待されていたの。だから、選んだと言うより……選ばされた、はおかしいわね。あまりにも責任を他人に押し付けすぎてるわ。なら、何だろう……」

リツコはそんな風に戸惑っていたが、相変わらず戸惑い顔のリツコに相対している私も同じように戸惑っていた。天地創造から数えた方が早いくらい永い付き合いのミサトならいざ知らず、私はこんな表情のリツコを見るのは初めてだった。

私の知っているリツコは、自らの選択に自信を持ち、自らの判断に自信が持てない周りの愚か者とは一線を画す存在だった。

それが、いままさに私の前で自分の行った選択に、判断について悩んでいる。考え込んでいる。

同化したようだった革張りの椅子との間に、少しだけ隙間が空いたような感じがした。

私は自分が受け持ったクライアントの一人の内面世界にあった、マリオネットのことを思い出していた。というか、より正確にはマリオネットであったクライアントのいた内面世界だ。

もう名前も忘れたようなクライアントだったが、確か男だったということだけは覚えている。私が<ダイブ>すると、彼はその世界でマリオネットだった。糸は遠く天から垂れ下がっていて、彼の手足に絡み付いている。彼は自分の意思で動こうとするが、天の意思に逆らうと細い糸は肉を切り、逆らおうとした肉人形の手足に血が滲む。

でも、そんなのは嘘だった。

それは本当はトマトジュースで、血でもなんでもなかった。血は流れていなかったのだ。けれど、マリオネットはそれが自分の血だと信じていた。そのせいで、マリオネットは自分で動く意思をなくして、むしろ率先して糸の動きに従っていた。

マリオネットはごく稀に恨めしそうに空を見上げた。

「アスカ?」

気がつくと、まだ元の調子に戻りきらないリツコの顔が目の前にあった。

「え? ああ、ごめん、ちょっとぼうっとしちゃって」

「こちらこそ。ごめんなさいね、少し考えたくない質問だったから」

率直な答えだった。マリオネットは、自分の血を見たくない。確認したくないのだ。

それが血ではなくただのトマトジュースであったことを。

「ああ、違う、違う」

私は言ったっきりまた物思いに沈んだリツコの顔を見て、思わず小声でそう言った。違う。トマトジュースのマリオネットは、あのクライアントの中にある物語だ。リツコは恐らくまた別の物語を持っている。

問題を引き起こす物語が異なっているからこそ、シンクロニシティ・カウンセリングは必要なのだし、それらの問題をクライアントの内面世界に<ダイブ>していちいち見極めるスペシャリストもまた必要なのだ。

内面世界相対主義。脳組織がその細部において異なっているように、世界とやりとりしそれを記述する方法論――世界観もまた個体ごとに異なっているということを理解し、相手の思考枠組にシンクロしその内面世界を体得すること。精神のフィールドワーク。

シンクロニシティ・カウンセラーの基本を私はついつい忘れていた。

リツコは自らが選んでいないことを恥じていた。なら、その人生は……

「ねえリツコ、それって性質の悪い夢みたいなもんなんじゃない?」

リツコは一瞬私の言ったことが理解できなかったのか、視線の焦点が合わない虚を衝かれた顔をした。

だがすぐに持ち直し、さっきはつかなかった溜め息をついた。

「そうね。性質の悪い夢のようなものだったのかもしれない。期待されている役割を――装置として、その機能を果たすことで精一杯だったし、役目を果たすことに取り憑かれたようだった」

<ダイブ>する時と同じように私は意識を集中して、その異質な内面世界にシンクロしようとした。

イメージする。

長く険しい道と、それ以外に何も与えられなかった少女のことを。

きっとずっと前からそうだったのだ。それ以外の道は存在しなかった。いや、存在したけれど不可視だった。

そんな世界観を私は想像した。

そして、自分のイメージを頼りに、それを足場にして、そこから離脱しようとする。

私のイメージしたものはあくまでも私の世界観であって、相手の世界観ではない。だから、シンクロニシティ・カウンセラーは自らの中に相手をイメージするけれど、最終的にはその近似されたイメージを潔く捨てる。

本来はセッション用の<カウチ>があるからこそできる操作だったが、もう十年来の付き合いの彼女なら、機械を介さなくてもある程度は何とかなる。幸い、カウンセリングで避けなければいけない身内という程には、その関係が近いわけでもない。

どうせこんな生身の状態では、相手の思考枠組にまで辿り着けない。けれど、遠くで視ることくらいはできる。

それをしよう。最後の仕事として。

この変則的な操作が私の最後の仕事になるのはわかっていた。

これでシンクロニシティ・カウンセラーとしての仕事は終了する。

私は少しは相手のことが解る人間になっただろうか?

私は自分勝手なクソガキだった。

認めよう。

けれどそれは過去のこと?

還ってきた私は、今では何かになったのだろうか。

ただの他者ではないものに――いけない、私自身の思考枠組が弱体化している。

私はロープを探した。私の思考をなだめてまとめ、リツコの思考へとつないでくれるロープを。

耳をそばだててみれば、私がシンクロに集中している間にリツコの呟きは独り言になっていた。

「夢を見ている時と同じ、傍から見ると怖ろしく意味不明でややこしいことをやっているけれど、本人は大真面目で、それ以外に道があることなんて気づきもしない……」

その言葉を呼び水に――ロープにする。キーワードは正しかったようだった。私は自分が言った「性質の悪い夢」という語が呼び出した共同幻想に<ダイブ>しようとした。

ぐい。

何かが引っかかったような感覚を覚え、私はまさにフリーダイバーのようにロープを手繰り寄せた。フリー・イマージョン。ガイドロープを伝って海の底へ潜る。しかしそれは私のイメージだ。邪魔だ。潜った途端に離脱しなければならない。

どこへ?


――そこへ


「ああ……」

私は暗い場所に辿り着いた。暗い、夜の道。

「違う?」

そこは夜ではなかった。星も月も見えない。真っ暗だ。

「でも、光がある」

スポットライトのように収束した光が足元を照らしていた。たったひとつの道を。それは信じられないくらいの坂道で、天から道を照らす者の顔はまったく見えない。

「歩いて……来たの」

歩いていた。スポットライトに当たって微かにその姿が確認できた。制服のようなブラウスとスカートを着た女の子が、不安げに歩いている。女の子は自分の両肘を抱えていた。

両肘には血が滲んでいた。

時折女の子は左腕を見た。

血を確認しているのか?

そうではなかった。女の子は時計を見ていた。左手首にした時計は小さく弱々しかった。

内面世界では視力など関係がない。私にはスポットライトに照らされる女の子が隅々までよく見えた。

女の子は肘を血が出るほど強く掴んでいたが、流れている血には無頓着だった。

やがて肘から女の子を覆うようにするすると髪の毛が生えた。その紙は派手な金色をしていた。嘘みたいな色をした髪は煙のように女の子に巻き付き、その頭や身体を鎧った。やがて女の子は宇宙飛行士のようになった。

坂がまた急になる。女の子は足元に落ちていたロープを持った。すでに血の滲んだ肘は見えなかった。

私は自分の足元にもある、ガイドロープだと思っていたそれを見た。

違う。

それは登山用のザイルだった。すでに坂は山脈のように険しく、けれど重い身体を引きずって女の子は肩で息をしながら崖を登り続けていた。

泣いてはいなかった。

泣くことも忘れていた。

「もういいよ」

私の声は届かなかった。

限界だ。

「もういいの、もういいのよ」

彼我の距離が離れていく。内面世界における物理的距離の拡大は、治療における精神的距離の拡大のメタファーだ。結ばれたイメージがぼやけていった。山は遠くなり、私にはそこが暗闇であることがわからなくなった。

駄目だ。これで最後なのに。

私は水の中でもがいた。

水?

いけない。私は自分のイメージに帰ってきてしまっていた。慌ててザイルを――ガイドロープを手繰ろうとしたが、息が続かない。

「もういいの、もう登らなくていいの、その道を」

そう、もういいの。もうお母さんはいない。お母さんと同じ道を進む必要はない。あんなに辛いのに。別の道を行くこともできたのにあなたはその道しか選べなかったのね。ママがそこにいたから。ねえ、でも――


「もういいの、もういいのよ―――――――アスカ!」


「え?」

肩に力を感じた私ははっとして自分の手をやった。そこには化粧が崩れたリツコがいた。泣き腫らした顔で、リツコはほっとしたように私に笑いかけた。

「無茶をするのね。<カウチ>もなしに<ダイブ>しようだなんて」

気がつくと、私は自分のいた病室に帰ってきていた。

そこで私は理解する。私は確かに素晴らしくシンクロすることができた。だがそれは私の中にある問題にもつながっていた。多分そういうことなのだろう。

「……失敗しちゃった。あー、疲れた。確かに私には向いてないのかもね、この仕事。これで諦めがついたわ」

しかし、リツコは一言の皮肉も言わなかった。

「届いたわよ、声は」

それはそれまで一度として見たことのないくらい、作ったところのない笑みだった。

「訂正するわ」

リツコは涙をハンカチでぬぐって、もう一度笑った。

「あなたは超一流のシンクロニシティ・カウンセリング・スペシャリストよ。あなたを超えるシンクロニシティ・カウンセラーは向こう二十年は出ないでしょう。一緒に仕事ができなくなって、本当に残念」

その飾らない笑い顔を見て、私はもしかするとこれから彼女は煙草を断つかもしれない、と思った。

Dream of Dream

その電話が掛かってきたのは学会発表から帰ってきたすぐ後だった。監視カメラでも仕掛けていたようないいタイミングでまだほとんど誰にも番号を教えていなかった携帯電話は鳴った。

「Hallo?」

どこからだろう、と少し考える。

「Wer ist da?」

結局、つい昨日までいたドイツからだろうと見等をつけ、さらに問いかける。

だが相手は無言だった。

「ええと、あの、もしもし? Hello? 誰かいるの?」

しばらくして、ここしばらく聞いていない声が聞こえた。

『アスカ? ……良かった。アスカなのね?』

「何言ってんのよ、当ったり前じゃない! リツコぉ、あんたまさかこのアスカ様の声を忘れたっての?」

けれど自信満々の答えは虚しく空滑りした。電話の向こうから返ってきたリツコの声は上ずっていたからだ。

……本当に私はアスカと話をしているのね?

頭には数通りの可能性が浮かんでは消えていた。薬品による錯乱。感染症による意識の混濁。ただの冗談。

だが、結局は一番高い可能性について訊いた。現実感を失うほどの強い精神的ショック、即ち、

「もしかして――<ダイブ>に失敗したの?」

『……その通りよ。お願い、アスカ。今すぐ私の処に来て。……手遅れになる前に』

それを最後に電話は切れ、後は何度リコールしても回線が繋がることはなかった。

嫌な予感がした。


嫌な予感は当たるものだ。そして時には、予感を遥かに超えた悪夢が降りかかる。それはまさに性質の悪い夢だ。

夢でしかありえないはずの光景がそこにあった。いないはずの人間がここにいた。

「どうして……」

どうしてこの男がここにいる。

その言葉を最後まで口にすることはできなかった。言い終わる前に吐き気を催していた。私にとってこの男は拒否反応が強すぎる。呼ばれて来ては見たけれど、役に立ちそうにない。役に立つつもりもさらさらないが、それ以前の問題だった。するしないの問題ではない。できるできないの問題だ。

セカンド・チルドレンとサード・チルドレンの間には数々の確執があった。極限状態におけるそれらのやりとりは精神的外傷の域に達していて、うかつに触ることはできない。

当てにならない自己診断でさえ、それくらいわかる。

惣流・アスカ・ラングレーが碇シンジに<ダイブ>することなんて土台不可能だ。

私はもう一度、<カウチ>に表示された名前を確認する。顔を確認することなどできなかった。

碇シンジ。

だから私は状況を飲み込んですぐさま言葉を吐き出した。

「私、帰る」

「待って」

「いい? 一度しか言わないから良く聞いて。どうしてこの男が生きてるのか、そんなことには興味ない。もう昔の話、生きてたって別に殺しゃしない。勝手に生きてりゃいい。私の目の届かないところでね。でも。私にはこいつがぶっ倒れてるからって治す義理はこれっぽっちもない。私は辞めたのよ、カウンセラーは。あんたがそう宣告したから。聞いたわね。じゃあ帰るわよ私は」

そして踵を返し、<カウチ>に背を向けて私は帰ろうとした。

だが、それは緩やかに阻まれた。リツコは信じられないくらい力なく、うな垂れて私のシャツの袖口を握っていた。

「お願い。帰らないで。説明を聞いて。シンジ君の治療を。世界の運命が掛かっているのよ」

立て続けに短文を吐いて、リツコはふらりと意識を失いかける。

「嘘」

慌てて受け止め、その目をちゃんと見て思わず声を上げてしまう。瞳孔が開いて、口の端からは涎が垂れていた。身体の自由が利いていないのはすぐにわかった。

まさかここまで、この鉄仮面が?

「嘘じゃない」

「喋らないで」

「駄目、聞いて。私……の、意識が保つ間に。言わないと。彼の……シンジ君の内面世界は、すでにこの現実世界に漏れ出している。影響を及ぼし始めて。A.T.フィールドが強すぎる。ありえない。ありえないのに――」

「リツコ……リツコ?」

それきり、意識を失ったリツコは言葉を発さなかった。

「なんだってのよ一体……」

そして部屋を見回して、気が遠くなる。

「何よ……なんなのよ、この部屋は!?」

私は間違いに気づいた。私は気が遠くなったのではなくて、気が狂いそうになったのだ。

部屋は歪んでいた。床が跳ね、梁が曲がり、壁が反り返っている。外から見た時にはそんな兆候はなかったにも拘わらず、こうして中に入るとこの部屋はまるでシュールレアリスムの絵画だった。

「アーティスティック……なんて言ってる場合じゃないわね」

冗談を言ってみて、自分がまだ正気かを確認してみる。だいぶ怪しい。この状況下では仕方がないが、そもそも「この状況下」と言えるほど私は自分が置かれている状況を理解していなかった。

歪んだ部屋を見回してみる。バランスの崩れた意匠に囲まれているとめまいがしそうになったが、それでも何とか、いくつかの<カウチ>が碇シンジの<カウチ>に接続されているのを確認できた。

「全員、失敗か……」

リツコだけが辛うじて脱出できたのだろう、端にある<カウチ>だけハッチが開いていた。他の<カウチ>内の人間はまだ意識を失ったままか、下手をすれば碇シンジの思考枠組を嵌め込まれたままその内面世界に捕われているのかもしれない。

数えると、接続されている<カウチ>は五つあった。

同時に四人をその思考枠組で捉えるなどということが、人間にできるものなのか。シンクロを止めて逃げようとする異なった思考の人間四人を、ひとつの思考枠組で?

できるわけがない。そんなことができるとすればそれは人間ではない。

「もう……人間じゃないの?」

口に出してみて、ぞっとした。それを否定する材料が見当たらなかったからだ。

もう一度、部屋を見回してみる。

歪んだ机、椅子、床、天井、壁、柱、梁、窓、窓ガラスまで。何もかもが歪んでいた。当然そんな症例は見たことも聞いたこともない。このカウンセリング・システムの考案からずっと付き合ってきた私がだ。

そんなことはあるはずがない。

このシステムは、私のために作られたのに。

私はもう一度システムの構造を考え直した。<カウチ>――エントリープラグの機構を利用した接続機器を介して、カウンセラーはクライアントと接続される。互いにシステムにエントリーした後、クライアントは催眠状態に移行する。その後、カウンセラーがMAGIタイプのコンピュータの補助を受けながらシンクロ操作を行い、クライアントの思考枠組とシンクロし――その内面世界へと潜る。それゆえにこの療法におけるクライアントとのセッションは、特に<ダイブ>と呼ばれる。

だがそれらは基本的に二つの<カウチ>間で完結するシステムだ。その結果が外部に漏れ出すなど考えられない。

では、この状況は何だ? この部屋は明らかに歪んでいる。どんな力を加えれば、こんな風に部屋が歪む? これはそのまま、クライアントの内面世界――まさか。

「私ももうこいつの思考枠組に捉えられてるっての?」

そうなのだろうか? 私も既に<ダイブ>を敢行し、まんまと碇シンジの思考枠組を嵌め込まれ、その内面世界から抜け出せなくなっている?

「いや、それは」

ありえない。さっきリツコに言ったように、自己診断でもそんなことをしたらどうしようもないことになるのは目に見えている。カウンセリング、特にシンクロニシティ・カウンセリングにおいては、自らの身内やそれに類するごく近い知り合いをクライアントにするのはまずい。共通の思い出やぶつかり合いの記憶から、逆に相手を自らの内面世界に引きずり込んでしまう場合があるからだ。

また、触れたものが共通の心の傷であったなら、最悪クライアントとカウンセラーが共に昏睡状態に陥る場合もある。

だから通常なら、そんな無意味な大博打を打つはずがないし、その必要もない。何しろ私は既にカウンセラーを辞めている。

「つまり、どういうこと?」

誰も問いかける人間がいないので、自分に問いかけてみる。馬鹿みたいだが、思考をまとめるには役に立つ。

こう考えるしかない。いまは確かに世界の危機だ。これは恐らくは現実だ。A.T.フィールドの力は現状でもまだ未知数なのだから……そうであれば、内面世界が外部に流れ出すこんな危ない患者を放っておけるわけがない。それに、私が彼に取り込まれていると仮定するなら、それこそ尋常な状態ではありえない。私がこの碇シンジに対する<ダイブ>を決心するというのは、世界の危機でもない限りありえない。

「ってことは、どっちにしろ……」

やるしかないわけか。私はただひとつ空いた<カウチ>を見つめた。歪んだ部屋の中でそれだけ無事な<カウチ>からは私を待っているように、しゅう、という間抜けな音がした。

やれるだろうか、私に。

自信はなかった。

けれど、やるしかない。そう、何しろ私は現時点で世界で一番の<ダイブ>経験を持つ、シンクロニシティ・カウンセリング・スペシャリストなのだから。

下着姿になって<カウチ>に入ってみると、その思考言語は日本語にフィックスされていた。

「L.C.L.注入、接続処理開始」

あえて日本語のまま接続を開始した。もういい加減日本語を話していた期間も長くなっているし、そもそも相手は日本語しか話せない人間だ。

昔もこんなことがあったな。

記憶を辿ると、そんなことが頭に浮かんだ。このクライアントに……碇シンジに出会ったその日にあった、最初の戦いの記憶だ。

――ドイツ語で考えなさいよ!

――バームクーヘン?

空気を吐き出し、L.C.L.を吸い込んでいく。耳の方はは今さら一度くらいどうにでもなるだろう。こういうところは昔から変わらないと自分でも思う。ミッションがあれば、それをこなすためなら、私は簡単に自分を犠牲にできる。

「不養生、か。人に言えた義理じゃないな」

あの時点で終わりを宣告したリツコの判断は英断だったのだろうと思いながら、私はそう呟き――逃げるのを止めた。

「行くわよ、アスカ」

わざとあのころのように私はそう言った。

「<カウチ>! トランスモード・スタート」

背面のディスクが回りだし、振動音が聞こえるかどうかというところで私は意識を失う。

処理が始まる。事前処理。MAGIによるカウンセラーに対するカンファレンス・シークエンス。


開始:質問を入力してください?

質問:私は誰に<ダイブ>するのか?

回答:クライアントに=>碇シンジに=>シンジに――Fehler! (Runtime Error)


【警告――抑圧された記憶について】

クライアントは登録されているあなたの抑圧された記憶(Repressed Memory)のインデックス項目と一致しています。このクライアントに対しての<ダイブ>の敢行を通してあなたは重大なトラウマティック・ストレスにさらされる危険性があります。


【さらに長期的な警告――抑圧された記憶に関する付随事項】

簡易検診の結果、あなたの記憶中には基準値を超えた多数の抑圧された記憶(Repressed Memory)が確認されています。現在のところ問題ありませんが早期に専門医の投薬を含めた治療を受けるべきです。


処理:前者は無視、後者に関しては投薬を既に受けている事実を再入力して続行


質問:私にとっての彼の位置付けは?

回答:多義。以下順不同。同居人/クラスメイト/ライバル/恋人にし損ねた/汚された――Fehler! (Runtime Error)


【警告――精神状態について】

現在あなたの精神は安定していません。この意識レベルでの<ダイブ>の敢行はあなた及びクライアントの精神に大きな影響力を与える可能性があります。


【警告――記憶におけるの同期率について】

あなたとクライアントとのエピソード記憶(Episodic Memory)中のクライマックス同期率が高すぎます。この同期率での<ダイブ>の敢行はあなた及びクライアントのシンクロ状態からの回復を極端に難しくさせる可能性があります。


処理:共に無視して続行


以上でカンファレンス・シークエンスを打ち切り。クライアントへのインフォームド・コンセント・シークエンスは省略。

即刻<ダイブ>する。


<カウチ>=高機動モード/身体管理をMAGIベースへ。


ダイブ・シークエンス・スタート。


Dive in:


以前に行った、リツコへの最後の<ダイブ>とは異なった感覚が襲う。

<カウチ>のあるなし?

それもあるが、それだけではない。機械のあるなしとは関係ないレベルでの差異が、今までのどの<ダイブ>とも異なった感覚の違いがある。

臭気を感じる。据えたような臭い。私の中にはなかった……においだ。

それがわかった時、現在起こっているできごとがどういうことなのかがわかって、私は間抜けな警告をしたコンピュータが恨めしくなった。

これは――私が引きずり込むどころではない。

シンクロもしない内から自らの内部にない感覚が生じるということは、つまり、圧倒的な勢いで私が相手のイメージに、内面世界にずるずる引きずり込まれ、その中に絡めとられているということだ。

これなら、四人を同時にその思考枠組に閉じ込めているということも納得できるが、いったいどういうことだ? どうしたら、こんな――いけない、集中だ。今は私の疑問を解決する時間ではない。

<ダイブ>の時間だ。

手順は崩さない。世界観をイメージする。碇シンジ、私の同居人だった――恋人に、し損ねた男。

根暗で、鈍感で、意気地なしで――ああ、だめだ、これは、私の中にいる碇シンジだ。

違う。

こんなもの、近似ですらない。私の主観によって造形された、私のための碇シンジだ。

アスカ。私は自分に呼びかける。イメージして。イメージしなさい。シンジの中で、自分という存在はどのようなものであったかを。どのように理解されていたかを。シンジの思考の枠組を。

私は思い出そうとした。シンジが自分をどう表現していたのかを。彼の思考に潜るためのロープになりうる何ものかを。

嘘でもインフォームド・コンセント・シークエンスは行っておくべきだったか、と私はここにきて軽く後悔していた。判断が狂ったのは、やはりシンジへの拒絶感が強かったからかもしれない。相手に話を通さずに<ダイブ>を行うのはやはり厳しすぎた。

しかし後悔しても始まらない。問題から逃避していても、彼に潜るためのロープは見つからない。

逃げちゃ駄目だ。

――あ。

通った?

私はロープを手繰って行く。手ごたえがあった。

逃げちゃ駄目、それが。

シンジ、あなたなの?

でも、現にあんたは私から逃げて――いや、これは私の中にいるシンジだ。シンジの中にいるシンジは、逃げられなくて、だから、そこに――どうして?


なぜならば。


「え?」

私は沼にいた。大きな沼と、鬱蒼と草が繁る湿地。死後の世界のイメージ?

「いや、でも……どうして? 誰もいないの?」

本当に、そこには私以外動く者はいなかった。四人、シンジの思考枠組に吸い込まれ絡めとられてしまったはずの四人が倒れていたが、湿地に足を取られそうになりながら近づいてみても、意識はなかった。

こちら側で意識がないということは、彼らは自分の中にいるということになる。

「なんで? 絡め取られちゃったはずじゃ……」

どこに、どこにいる?

いない。そこには見えるべき人間の姿がない。主人公であり神である本人から独立して存在する内面世界などありえない。ならば、どこかにいるはずなのだ。

この内面世界の作り手は、世界観の持ち主は、思考枠組の順拠点は、どこにいる? どこに隠れた?

だが、どこまで遠く世界を見詰めても、私以外の生き物は影も形もなかった。

ただ、そこには中心に、沼だけが――沼?

「まさか……」

これが?

私は沼を覗き込んだ。湿り気のある草に覆われた、暗い野に囲まれた沼は、鉛色の表面にゆらゆらと私の姿を移していた。

歪んだ鏡のように。

鏡?

その言葉を得て、私の思考は収束する。四人、別の思考枠組を持った人間がシンジの思考枠組に、その内面世界に捉えられ、捕らえられていた。そう思っていた。だから疑問だった。何故、たったひとりの内面世界で同時に四人もの人間を捉えることができたのか、と。

でも違う? 彼らはここにはいなかった。なら、彼らが今いるのは。

「自分自身……鏡に映った、自分自身の内面世界?」

私は理解した。彼らは碇シンジという人間の思考枠組に捕われたわけではない、あくまでも彼の中に写し出された自分自身の思考枠組に捕らえられているのだ。四人を同時に処理できた理由もそれでわかった。別にシンジは彼らひとりひとりごとに別の世界観を準備したわけではない。むしろ、何もない――彼自身がゼロの状態だったから、それぞれのカウンセラーが勝手にその中に見えた自分、その深層を、クライアント自身だと勘違いして<ダイブ>したのだ。

自分の深層への<ダイブ>。ということは、つまり彼らは……

「寝てるだけってことか。まったく人騒がせな……でも、そんなことって……」

そんなことがありえるのだろうか? 完全に自分を失い、見る者の姿を写し出す、鏡のような内面世界。失われた自己。

そんなものが、人間と言えるのか?

自らの意識を許されず、ただ相手が自分の姿を確認するという機能だけを持つ、そんな存在が。

それは純然たる「他者」だ。人間ではなく、ただ機能として「他者」という属性を持つ、装置。

装置としての他人。


『……そう、だからこそ、―――は還っては来なかった。あの赤い海から』


突如、リツコの声が耳に届いた。思考ノイズ――シンジの記憶の残滓だ。


『何故なら、―――自身は求められてはいなかったからよ。存在を求められたのは、その一面だけ』


いや、違う? ――彼が自らの意識を既に失い、それを見る者の中にあるものを写し出す存在なのなら、それは、私の記憶ということか?

これは、<ダイブ>前のブリーフィングか? 私が覚えていない、私の記憶?


『―――がこうなのは、僕がそう望んだからってことですか?』


一瞬、声色が変わる。碇シンジ声で変奏される私の記憶。

だがすぐにそれはリツコの声に戻った。私の最後の、人間のクライアントの声色に。


『ええ……あなたが望んだのは―――ではなかった。だから……』


止めろ、そんな――糞。

「……化け物め!」

思わずそう叫んでいた。もう身体のコントロールはMAGIに明け渡しているから、それは身体の叫びではなかったが、確かに私は叫んでいた。

許せない。

私の記憶を覗いて、切り刻んで、勝手に誰でもないものに書き換える。変奏して、私の心に送り返す。無残に歪んだ私を。

そうだ。

私の心の奥に土足で入ってきて、めちゃくちゃにするんだ。


――私を汚したあの使徒と同じに。


【Warning!――Repressed Memory】


「きゃぁああああああああああああああああああああああああああ!?」


【Warning!――Stall of Mind】


――――――――――――…………………………………………


【Restart at Safe Mode.】


状況が把握できない。ストールした?

助けてぇ! 助けてよ!

もうひとつ意識が把握できるということは、強度のショックに拠る乖離状態または統合失調状態か。

しまった、不安定すぎる。既に抑圧されたエピソードが出やすい状態になっているのか。

こちらは安定しているけれど、こんな状態での<ダイブ>続行は事実上不可能だ。セーフモードではシンクロもできない。……それに機体側の動作も怪しい。さっきの警告メッセージ、英語じゃなかったか?

死んじゃう、死ぬ。駄目、殺さないで。いや、イヤ、いや、いやあああああああああああああああああああああああああ!

何かを焦点にして、私を統合しなければ……何をキーにすればいいだろうか。

汚される! また汚される! 私が! あいつに! あいつに!

私は慎重に、自分の記憶を探る。ひとまずシンジの記憶に戻るのは二の次だ。私は私を――治療する必要が――ある。

あいつに……助けて、私が、消えちゃうよ。

……消される? なんだ、この思考は。

消される……私は要らないの? 私は――

消される?

そう、消されるの。

どういう意味?

そのままの意味……わからないの? 私は捨てられたのに。なのに! ボロ雑巾みたいに捨てたくせにまたあいつがこうやって私の中に入ってくるのよ!

強度のショックを引き受けたことによる混乱か?

<ダイブ>している現在の状態が把握できていない?

何言ってるの? それはそれは悔しかったのに。選ばれなかったこと、それはそれは哀しかったのに。

もう忘れてしまったの?

本当に、忘れてしまった?

覚えていないの?


いったい、何を言って――

あのことを。

……あの、こと?

そう、あのこと。

何かを思い出せるような気がする。何だ?

そう、あのこと。思い出して。

シンジはどこへ行った? 私は誰と話している?

そう、あのこと。思い出して。

そうだ、私はシンジを、クライアントである碇シンジを治療していたのではなかったのか?

そう、あのこと。思い出して。

治療? けれど、内面世界に引きずりこまれたはずなのに、ここにシンジはいない。なら、私は誰を治療している?

誰が誰に<ダイブ>しているんだ?

そう、あのこと。思い出して。アスカ。

治療されている者は――


ねえ、おもいだして――


あなたは(=わたしは)どこにいる?

わたしは(=あなたは)どこにいる?


――――――――――起きて――――――――――


アスカ!

: Dive out

The Last Dream / Dream of Waking Up

そして永い眠りから目覚めた。

「……そう、か……」

「アスカ!」

叫び声が聞こえたが、どこか遠いところで響いているように私の心まではまだ届かなかった。

まるで<ダイブ>した時のような気分だった。今までの自分が、本来あるべき自分の一部でしかなかったことに私は気づいた。世界の解像度が上がった。夢に紛れ込んでいたのに見えなかった真実が、今は見える。

あの時。碇シンジを目の前にしたあの時。

私は半分正解して、半分間違った。

確かに私は<ダイブ>してはいなかった。しかし、影響を及ぼされたそこは現実の世界でもなかった。

クライアントの精神の歪みがカウンセラーのいる世界までに影響を及ぼしたのは、自分をカウンセラーだと誤認していた私の存在する世界自身がクライアントの中にあったからだ。

インフォームド・コンセントを省略しても、<ダイブ>が成功したのも、私に対するカンファレンスそれ自体が、インフォームド・コンセントであったから。

赤い海から帰ってこなかった存在、一面だけを求められ、機能を果たすためだけに存在した、<カウチ>に眠り続けるクライアント、自己を失った化け物は――


「アスカ!」

The Time To Wake Up!

そして私は今度こそ目覚めた。

私は揺さぶられていた。<カウチ>の中で、男に――シンジに。

「アスカ……」

それ以上は言葉になっていなくて、ただシンジは私の胸に顔を埋めて泣いていた。

吐き気がした。

死ねと、そう叫びたくなった。

私を汚した男、切り刻んで、自分の欲しい部分だけを引っこ抜いていった男。

気持ち悪い。


ああ、駄目だ。


違う。間違っている。それはさっきまでの私、装置としての他人だ。

あいつに他人として、マスかきの道具として消費される私だ。

それは、許さない。

私はこいつが大嫌いだ。でも――そう、手に入らなけりゃ殺してやりたいくらい、大好きだった。

だから――

そうだ。


刻んでやる。


こいつに、あたしを。理解できない、あたしそのままを。


「ねえ……シンジ、こっち、向いて?」

私が優しい声をかけると、シンジは泣き顔で私を見上げた。

「もっと……」

ゆっくりと、シンジの顔が、私の顔に近づいてくる。

そして、私の額にシンジの鼻先が近づいた時、

私は辛うじて動く首の筋肉を動かし、全力でシンジの顔に頭突きを食らわした。

何かが潰れる感触がした。

「死んじまえ! このオナニー野郎!」

私は、叫んで――

そのままシンジの唇に噛み付いて、強く引きつけた。

二回目のくちづけは、生き物の味がした。

- The rest stories of "Project Eva" #40 - "The device called 'other'" end.
first update: 200570205
last update: 20070207

note

About author
作者:north
The referential book or movie(citiations is stealed from...)
筒井康隆『パプリカ』
及び映画版『パプリカ -Paprika-』
The referential links
フリーダイビング(フリー・イマージョン)(powered by Wikipedia
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